自律神経失調症の原因と治療法
原因は複数ある
何らかの理由で交感神経と副交感神経のバランスが乱れた結果が自律神経失調症です。
それではいったい何が両者のバランスを乱すのでしょうか?
これにはさまざまな要因が考えられますが、主なものを挙げると、まずその人のもともとの体質、性格、ライフ・スタイル、そしてストレスです。
つまりこの4つが自律神経失調症の主な原因なのです。
普通はこの4つが単独で原因になっているというよりも、このうちの複数が組み合わさって自律神経失調症が発症する場合が多いようです。
自律神経失調症と体質との関係
もともと自律神経の働きが不安定で、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすい人がいます。
たとえば、スタミナ不足ですぐに疲れてしまう人や、いったん疲労するとなかなか回復しない人がそうです。血圧が低く、極端に寝起きの悪い人も自律神経の働きが不安定です。冷え性で、夏でも厚着をしたり、ひざ掛けが手放せないという人もこれに該当します。逆に体がほてりやすい人、汗っかきで冬でも大量の汗をかく人もそうです。体が細く、食べても食べてもちっとも太れないという人も同様です。
総じて小さい頃から体が虚弱でよく風邪をひいたり、病気がちだった人は、自律神経のバランスが乱れやすいものです。同じ様にアレルギー体質の人も自律神経のバランスがよくありません。
また、赤ちゃんの時にしょっちゅう熱をだしたり、頻繁に下痢をしたり、吐いたりした人も自律神経のバランスが崩れやすい傾向を持っています。幼児期や学童期によく乗り物酔いをしたことのある人や、自家中毒を起こした人もそうです。
それから、生理が不順だったり、生理痛が激しい人も自律神経が不安定でバランスを崩しやすいものです。
こうした人はちょっとしたことで交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすく、自律神経失調症にもなりやすいのです。
自律神経失調症と性格の関係
性格的に
自律神経失調症になりやすい人がいます。
では、どのような性格の人が自律神経失調症になりやすいのでしょう?
まず挙げられるのが、完全を求める傾向が強く、何事にも頑張りすぎるくらい頑張ってしまう人です。
また、人に期待されるとそれに応えなくてはいけないと思って、つい無理をしてしまう人も要注意です。
他人に頼みごとをされた時に、気が進まなくても断ることができず、過重な負担を背負い込んでしまう人も同様です。
総じて、人に合わせ過ぎてしまう傾向のある人、つまり「いい人」は自律神経失調症になりやすいと言えます。
それから、責任感が強く、まじめで几帳面といった性格傾向も自律神経失調症の人によく見られます。
あまり自分の感情を表に出さず、むしろ我慢してしまう人もなりやすいタイプです。
こういう人は気分転換がうまくできず、ストレスを溜め込んでしまいやすいのです。
物事を悲観的に考えたり、すぐクヨクヨしてしまうといった性格の人も自律神経失調症になりやすいものです。
もともと神経質で、些細なことが気になったり、一つのことにこだわりやすいというのも、なりやすい性格の一つです。
こういう人はちょっとした体調の変化がものすごく気になって、かえって自分で自分を具合悪くさせてしまう傾向があります。
不規則な生活習慣も原因の一つ
大ざっぱに言うと、昼間は自律神経のうち交感神経が主導権を握って働いています。
この時、副交感神経のほうは補佐的な役割をしています。
それが夕方頃になると、交感神経から副交感神経に主導権がバトンタッチされ、夜は副交感神経が主役になり、交感神経は脇役として働きます。
そして、朝起きていろいろな活動をしているうちに、再び交感神経に主導権が移っていくのです。
ところが、毎日のように深夜遅くまで起きていたり、昼夜逆転の生活を続けていたりすると、このリズムがおかしくなってきます。
夜になっても交感神経が活発に働いて眠れなくなったり、逆に昼間に交感神経が満足に働かず、頭が重かったり倦怠感を感じたりといった症状が出てきたりします。
つまり自律神経失調症の始まりです。
このように不規則な生活習慣は、自律神経失調症の大きな原因になります。
当然、夜勤をする人や、二交代や三交代というように労働時間が一定していない人は、それだけ自律神経失調症になりやすいと言えます。
また、毎日2時間とか3時間くらいしか眠らない、といった極端な睡眠不足が続いている人も自律神経失調症に罹る確率が高くなります。
私たち人間は、活動と休息のバランスをうまく保つことで健康的な生活を営むことができます。
だから、食事もまともに取らず、休息なしで夜遅くまで仕事をし、終電で帰宅するのが当たり前といった生活をしていたら、いつ自律神経失調症になってもおかしくはありません。
それから、バランスということで言うと、頭と体のバランスも大切です。
一日中パソコンに向かっているような生活や、頭ばかり使って体のほうはほとんど使わないような生活も、自律神経失調症の原因になります。
ストレスこそ最大の原因
自律神経失調症になりやすい体質や性格があるからといって、それだけで発症するわけではありません。 自律神経失調症を引き起こすのは、何といってもストレスです。 もともとなりやすい体質や性格を持った人に過重なストレスがかかると、発症しやすくなるのです。 もちろん体質的、性格的な素因を持っていない人でも、その人の限度を超えるストレスがかかると発症しやすくなります。 いずれにせよストレスこそ自律神経失調症の最たる原因なのです。
それでは、どうしてストレスが原因となって自律神経失調症になるのでしょうか?
ここで、脳と自律神経との関係から、この点について説明していくことにしましょう。
私たちの大脳の表面は、大脳皮質という部分に覆われています。
人間を人間たらしめている理性や知性の働きは、この大脳新皮質で行なわれています。
大脳皮質の内側には、大脳辺縁系という部分が存在しています。
ここから本能的な欲求や、喜怒哀楽や快・不快などの感情や情動が生まれます。
大脳辺縁系の下には、視床下部と呼ばれているところがあります。
実はこの視床下部こそ自律神経の中枢です。
つまりここが自律神経の働きを調整し、交感神経と副交感神経のバランスを保っているのです。
視床下部は、その上部にある大脳辺縁系の影響を受けています。また、間接的に大脳皮質の影響も受けています。
何か大きなストレスがかかり、そのために 大脳辺縁系の内部で激しい怒りや憎悪、欲求不満、深い悲しみなどの感情や情動が発生すると、それが視床下部の働きに影響します。また、あまりにも物事をネガティブに考えたり、「完璧にやらなくてはいけない」とか「失敗してはいけない」などとプレッシャーになるようなことを考えたりすると、それがストレスになります。そのストレスが大脳皮質に負担をかけ、さらに大脳辺縁系にも影響し、最後は視床下部にも影響するのです。 その結果、自律神経のバランスが乱れてしまうことがあるのです。
もちろんストレスがかかったからといって、すぐに自律神経失調症になるわけではありません。
ただ絶え間なく深刻なストレスがかかったり、あまりにも大きなストレスがのしかかってくると、発症する確率が高くなってくるのです。
ストレスには、肉体的ストレスと心理的ストレスの二種類があります。
睡眠不足や不規則な生活は肉体的ストレスになります。
また、長時間労働や満員電車での通勤も肉体的ストレスになります。
病気になったり怪我をすることも、暑さや寒さも肉体的ストレスとして自律神経に影響します。
心理的ストレスには、実にさまざまなものがあります。
人間関係における葛藤や不和、孤立、いじめ、失恋、離婚、挫折、仕事上の失敗やプレッシャー、左遷、リストラや失業、経済的困難などは、大きな心理的ストレスを生みます
。
また、就職や異動、転勤、入学や進学、結婚、新築、引っ越しなどの環境の変化も、それがおめでたいことや嬉しいことであっても、心理的ストレスを生み出します。
こうしてみると、誰でも思い当たることが一つか二つくらいはあるはずです。
だから、自律神経失調症はけっして特定の人だけに起こるものではありません。
誰もが自律神経失調症になる可能性があるのです。